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山の日に、至仏山へ。

4件のコメント

2016年の年間カレンダーを見た時、僕はちょっとした違和感を感じた。
自分が意識していなかっただけで前々から存在していたのか。
それとも、近年になって制定されたものなのか。

8月11日の日付上に書いてある「山の日」が、僕はとても気になっていた。

山の日は、”山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する”ことを趣旨とした祝日だ。
調べてみると、施行されたのは2016年からだという。
こんな熱い日が出来たなんて・・。
これは、登山をするしかないんじゃないか。

そう思いつつ、帰国してから仕事探しやら何やらでバタバタしていて、僕の頭からは山の日がスッポリと抜け落ちていた。
結局、「山の日」を本格的に意識したのは、2日前の8月9日昼過ぎ。
一人で登山ってのも悪くないけど、やっぱり登山といえばこいつしかいないだろうと思い、早速ヒロに連絡を取った。

そして、8月10日の23時頃。
僕らは池尻大橋駅の北口にいた。
レンタカーのカーナビに「至仏山(しぶつさん)」と入力し、レッドブル片手に大音量の音楽で眠気を飛ばす。

目的地の至仏山は、群馬県の北東部、みなかみ町と片品村との境界に位置する標高2,228mの山だ。
日本百名山の1つに数えられていて、福島県、栃木県、群馬県、新潟県の4県にまたがる尾瀬国立公園内に属している。
行き先は僕が決めたんだけども、なぜ至仏山かと言われたら特に理由はない。
膝を軽く痛めてるヒロのために、そこまできつくなくて、満足できそうな山を探していた時、偶然にも「やまクエ」というサイトを見つけ、たまたま至仏山という山に興味を持った。

至仏山がある尾瀬には入口が幾つかあって、その中でも僕が選んだのは、鳩待峠と呼ばれる場所だ。
週末は道路規制によりマイカーで立ち入る事は出来ない場所だけど、木曜である「山の日」は道路規制がかかっていない。
収容台数が80台しかない鳩待峠の駐車場に車を停めるため、僕らは深夜に東京を出発した。

ただね、仕事後で、深夜ですからね、瞼が重い重い。笑
さらにヒロはスウェーデンで免許の書類を出し忘れたから日本の免許証を持っていない。
サービスエリアで26時〜27時まで仮眠を取り、沼田ICを降りて、近場のセブンイレブンに着いたのは朝の4時。
眠気覚しのコーヒーを買い、隣で爆睡しているヒロを横目に頭をシートに預けた。
気がついたら長い針が一周していて、まさかの朝の5時。

やっちまった・・。

山道を飛ばして急いで鳩待峠に向かった。
朝方広がっていた曇り空は未だ上空に停滞していて、少し開けた窓からは肌寒い空気が車内へと入ってくる。
そして、朝の6時に駐車場に到着した僕らの目の前には、赤い文字で大きく書かれた「満車」の看板。

「惜しかったねー。朝5時過ぎに満車になっちゃったんだよ」

係員のおっちゃんが僕らに向かって話しかけてきた。
あぁ、セブンイレブンで寝過ごしたせいだ・・。
係員のおっちゃんに何度もお願いしても真顔で断られたので、くねくねの山道を再度戻り、結局僕らは尾瀬第一駐車場に車を停めた。
マイカーの人々の多くは、ここから鳩待峠行きのバス(往復1,940円)に乗り込む。
駐車場で準備をして、バスに乗り込み、僕らがもう一度鳩待峠に着いたのは朝の7時頃のこと。

この日の天気予報は一日中曇り。
でも、顔を上げると太陽の光が降り注ぎ始め、青空が顔を出している。
晴れ男パワー全開、かも?

鳩待峠の入口には尾瀬の看板。
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ここから、3,3km先の「山ノ鼻」を目指す。
至る所に熊出没注意の看板が立てかけられていて、耳を澄ますと熊よけの鈴の音がそこら中から聞こえてくる。

林の中をどんどん進むと、
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40分ほどで最初の目的地である山ノ鼻に到着。
僕たちのように尾瀬を楽しむ人たちで賑わっていた。

思ったよりも日差しが強いため、日焼け止めを塗りたくる。
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看板の前で立ち止まり、
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とりあえず、至仏山を後回しにして尾瀬ヶ原に行くことを決めた。
鳩待峠のスタッフが少しでもいいから尾瀬ヶ原を見に行くといいと何度も僕らに話していたからだ。

「まぁ、まだ朝の8時過ぎだしな。少しぐらい寄り道してもいいよね」
「そうね。ヒロの膝の調子が良ければ少しぐらい尾瀬ヶ原歩いてみようか」

山ノ鼻の山小屋の横を抜け、小さな林へ。
そのまま真っ直ぐ歩いて抜けると、いきなり目の前が開けた。

何、ここ。
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尾瀬ヶ原、本当に絶景すぎる。
標高1,400m、気持ちのよい風が吹き、朝日が体に染みる。

延々と続いている湿原の木道を歩いていく。
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ヒロくん、パワー全開。
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幾つもの池を通り過ぎ、
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振り返ると、目的地の至仏山が聳え立っているのが見えた。
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このまま尾瀬ヶ原を歩きたい気持ちをぐっと堪えて、山ノ鼻から2kmほど進んだあたりでUターン。
尾瀬ヶ原を後にした僕らは、先ほどの看板まで戻り、至仏山へと向かう。
実は、スタート地点である鳩待峠から至仏山へ直接向かうことも出来るんだけども、この登山道だと至仏山山頂から尾瀬ヶ原へは向かうことができない。
なぜなら、尾瀬ヶ原から至仏山へ向かうルートが急で滑りやすい為、上り専用となっているからだ。

尾瀬ヶ原経由で木道を歩いて行くと、至仏山の上り専用ルートの登山口が見えた。
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上り専用ルートは林の中を突き進むコース。
最初から傾斜がとんでもなくてすぐに息が上がる。
上り始めて15分、汗がボタボタこぼれ、体温が急上昇している時に事件は起こった。

「ヒロ、マジでやべぇ・・」
「えっ?なに?どしたの?」
「俺さ、iPhone、落とした・・」
「それさ、マジで笑えないから・・」

ポケットの中やバックパックの中をひたすら探すも見つからない。
とりあえずヒロに荷物を全て預け、来た道をスーパーダッシュで駆け下りる。
上り専用だから、すれ違う人たちは本当にびっくりしただろうな。

iPhoneを落とした場所はなんとなく予想がついていた。
至仏山に突入する前、二人して馬鹿な写真を撮っていた場所。
ジャンプしたり、変なポーズを撮ったりしたベンチ近くの湿原に落としたに違いない。

このポーズをした時にiPhone落としました。
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予想通り湿原のど真ん中に落ちていたiPhoneを拾い上げ、ダッシュで山道を駆け上がり、往復20分かからずにヒロの元に戻ることができた。

「シュンさん、汗やばすぎるけど大丈夫?」
「体力の80%ほど、使ったかも、しれない・・・」

その後は順調に木々の間を抜けて、
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膝のサポーターを巻き直しながら進む。
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東北地方最高峰(2,356m)、日本百名山に選定されている燧ケ岳(ひうちがたけ)を見ながらの登山はテンションが上がる。
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ベンチで休憩する場所がたくさんあり、背後に広がる尾瀬ヶ原が綺麗すぎる。
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このあたりで、後方の林から大きな銃声が4発鳴った。
最初は誰かのイタズラかと思っていたけど、この時間、どうやら尾瀬ヶ原のほうで熊が出たらしい。
過剰に設置されていた熊注意の看板は本当だったんだな。

気を取り直し、急斜面を鎖を使って上り、
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あまりに急な階段にヒーヒー言いながら進むけど、
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延々と階段が続き、
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登っても登っても山頂に到着しない。
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ヒロの膝が悲鳴を上げ始めるけど、
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景色が綺麗だったので、とりあえず記念撮影。笑
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“軽めの登山だから大丈夫”
そう言って誘ったのに、全然優しくないコースで申し訳ない・・。
すると、急に道が細くなって、たくさんの人の笑い声が上のほうから聞こえてきた。

そして、念願の至仏山山頂に到着。
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予想以上に人が多くてびっくり。
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標高2,228mの至仏山の山頂は、心地よい風が吹いている。
それぞれがご飯を食べたり休憩したり、のんびりとした時間が流れていた。

こんな場所でご飯なんて、美味しすぎるでしょ。
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荷物を置いて一息ついた時、僕は面白そうな崖を見つけてしまった。

「ヒロ!こんな感じの構図で俺のこと撮ってくんない?」
「いいけど、ここ、結構な断崖絶壁の気がするけど大丈夫?」
「もちろーん!行ってきます!」
「見てるほうが怖いよ・・」

っていう、二人でイタリアのドロミテ山塊の1つ「ピッツボエ」に登った時のようなやり取りをしつつ、僕は崖の方へ近寄った。

ここから見える景色は、なんて綺麗なんだろう。
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至仏山は標高がそこまで高くないから登りやすい山だ。
それでも、ここからの景色は本当に素晴らしかった。
幸福感に襲われ、ゆっくりと目をつぶると、自然と口元に笑みが広がる。

至仏山、完全攻略!
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ちなみに、今回の山頂のお供は、ファミマで購入したオールドファッション。笑
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12時半頃、鳩待峠へ向けて下山開始。
山頂から鳩待峠までは約4.5km。

下山ルート上にある小至仏山が見えた。
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そして、小至仏山から先程までいた至仏山を見るとこんな感じ。
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帰りはヒロの膝が限界を迎え、僕も運動不足の影響でガクッとペースが落ちる。
残り2kmがすごく長く感じたなぁ。

のんびり話しながら帰ると、14時20分にスタート地点である鳩待峠に到着。
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本当は鳩待峠で荷物を置いてのんびりしたかったんだけど、レンタカーを止めた駐車場行きのバスがちょうど来ていたので、全くゆっくりすることができずにソフトクリームだけ購入してバスへ乗り込んだ。
とまあ、最後は適当に書きましたが、尾瀬ヶ原といい至仏山といい、最高すぎました。
帰りに立ち寄った温泉「花咲の湯」もすごく良くて、ここで仮眠しなかったら僕はきっと居眠りで大変なことになっていただろうな。笑

弾丸すぎた山の日は、山の恩恵にすごく感謝できました。
とゆうよりも、こんな素敵な至仏山のコースを整備してくれた方々に感謝感激でした。
至仏山に登らせてくれて本当にありがとうございました。

ヒロくん、毎度毎度だけど急な声がけに付き合ってくれて本当にありがとう。
次回は燧ケ岳(ひうちがたけ)に訪れてみたいかも。
尾瀬は絶対再訪決定だな。

山の日、本当にありがとう。

山の日に、至仏山へ。」への4件のフィードバック

  1. お久しぶりです!
    いやぁ絶景ですね、ここら辺には山どころか丘すらみないじゃないですか。
    昔は毎朝裏山に登ってたのになぁ。。

    こっちはかなり寒いです。
    Jämtlandあたりは明日8時ごろ3℃になるだの、もう夏も終わりですね。
    夏って過ぎてから考えるともっと楽しんでおくことだったなーって後悔しますよね。
    東京はまだ少し夏が続くでしょう、あと少しの夏を大切にしましょう!

    それではお元気で。

    • 七五三掛耀(FT)さん

      お久しぶりです!日本は山だらけで嬉しい限りです!笑
      スウェーデンはもうそんなにも寒いんですね・・。東京は未だ30度越えの毎日でまだまだ夏な感じです。もう少しの夏、お互い最後まで楽しみましょうね!

  2. こんばんは。
    尾瀬と至仏山良いですね!!
    気になりつつも一度も行った事が無いので、今年の秋には行ってみたいです♪
    私も思い立って、週末は千畳敷→中岳→駒ヶ岳→宝剣岳に登ってきました。
    宝剣岳の山頂付近は何となくプレーケストーレンみたいって思ったのでオススメです^^

    • Kirin kikiさん

      こんばんは!お久しぶりですがお元気でしたか??
      尾瀬と至仏山は本当に気持ち良かったですよ!是非秋に訪れてみてください!僕も秋に行くかも?笑
      kikiさん週末に千畳敷→中岳→駒ヶ岳→宝剣岳に登ってきたんですか⁉︎写真をみたら本当にプレーケストーレンみたいでしたね!なんて羨ましいんだ・・。今年行けたら是非ともチャレンジしてみます!貴重な情報ありがとうございます^ ^

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